時折「誰かの真似はしたくない」という声を聞くことがあります。
プロアーティストはとくに個性的でカッコいいですし、「唯一無二となりたい!」そんな気持ちは十分に理解できます。
でも、心配しなくても大丈夫です。
誰ひとり個性が無い人などいませんし、真似をするだけで個性が無くなるなんていう心配も要りません。
一説に、「学び」は「真似び」とも言われます。
何かを学ぶということは、ある人やモノから教えを乞うたり、影響をもらうということです。
考えてもみてください、人は生まれた瞬間から様々なものから多くを真似び、成長してくるでしょう?
どんなに誰かや何かに寄せたとしても、そこに残る自分らしさ、それこそが『本当の個性』でもあります。
個性とは、何をやったって、どうやったって消えないものなのです。
ただ、今ある個性を “より魅力的なもの” へと導くことは可能です。
そのためには、良い影響や真似びをもらえるような自分の環境を構築し、意識を変えることです。
黒色人種の精神的支柱でもあった言わば信心的音楽が、西洋音楽の規律や技術と合わさりブラッシュアップしたように、他からも憧れられ、周りに良い影響を与えるような“良い個性”というものは、自分の目標と信念を持ちながら、しっかりとした学びや日々の継続した鍛錬で、さらに磨かれます。
例えば、絵画でも著名な画家の絵やタッチには個性・特徴があります。
ピカソはデタラメに描いているわけではありません。
普通以上に写実的に描く画力は備えながら、歳を重ねるごとに感情や技術が熟成され、自らの目的を抽象的想像も加えて達成しようとしているわけです。
上の絵のような奇抜にも見える発想やタッチが、一般に皆さんご存知のピカソの絵の強い個性として知られていると思われますが、行動や作品へのエネルギーとなる強い意欲や目的と、その目的を達成するための、しっかりとした画力・熟されたスキルが備わっているからこその結果だと言えます。
興味のある方は、ピカソの初期の写実的作品や幼少期のデッサンを見れば、しっかりとした基礎技術を感じられるので、上の作品と比べてみましょう。
音楽の場合、同じ楽器編成であったり、同じコード進行を持つ曲は、この世に多いものです。
なのに、プロの作品には、真似たくなるようなカッコ良い個性や刺激が感じられますよね。
同じ編成やコード進行であっても、そこに付加されるリズムやメロディ、歌詞・言葉などのキャラクターやアンサンブルでも違いが生まれます。
言わば、それぞれの感性はもちろん、スキルの違いによって、より明白になるのです。
そして、ボーカルは作品力に大きく関与します。
ボーカルの声・歌唱力は主役であることがほとんどで、音楽作品の顕著な違いとなって、その評価をも左右しますから、磨くことが望まれるのです。
本当の個性とは、何をやってたって、どうやったって消えないもの。
やりたいようにやるというのは格好よくも聞こえますが、目標や夢に対しての日々の努力を怠る者が、出来ない時に使う言葉に置き換わっていないか、ときには自分に問い、自分の目標と対峙して見つめ直す事も必要ですね。
周りから憧れられる様な”良い個性”となるように、しっかりと磨いていきましょう。