コラム「グルーヴを磨こう(1)」を読んだ人は、「グルーヴ」を作る大きな要素について、大方、理解できたと思います。
しかし、リズムやタイミングをズラして演奏することがグルーヴだと、勘違いしている人も多いようです。
確かに、前回のコラムにも書いたように、様々な要素が混ざってグルーヴを作りますから、それらも大きく観ればグルーヴの要素の1つといえるでしょう。
しかし、コントロールされずに、ただ単純にズレているというものはグルーヴとは呼べません。
それらは一般的に、以下に示すようなリズムのズレとして示されます。
ズレたものと、後述の「前ノリ」や「後ノリ」という、コントロールされたグルーヴの違いを確認してみましょう。
例えば、正確なリズムである「ジャスト」というものは、
というように、規則正しく進む時間軸に対して、ズレること無く置かれた点で表現できます。
これが基本です。
それに比べて、いわゆる「走る」と言われるものは、正確な時間軸やリズムの上で、本来、乗せるべき所(ジャスト)よりも早く出てズレてしまっていることが、点から見てとれます。
一部分、一言だけが走ってしまうと「突っ込む」なんて言われたりしますよね。
多くは、上の例ような均等なハシりでなく、バラついていたり、フレーズが進行すればするほど、以下のように、どんどん走りが加速したりしていることも多いです。
また、いわゆる「もたる」と言われるものは、ジャストに比べ遅れてしまうことです。
「走り」のときと同じように、多くはバラつきがあるものになっていたり、フレーズが進行すればするほど、以下のようにどんどんズレ、遅れが増大することも多いです。
ついでに「前ノリ」と呼ばれるものは、
「後ノリ」と呼ぶものは、
となります。
プロや上級者は、これら「ハシり・モタり・前ノリ・後ノリ」を、巧みに意識的に使うこともあります。
しかし、それらは「ジャスト」の正確な精度があってこそ成り立つものであり、程よい音楽的な裁量を備えた、コントロールされたものです。
そもそものジャストがズレてしまうようなリズム感では、それらをコントロールできません。
正確なリズム感なくして、高度な演奏やグルーヴが生まれないのも、また事実だと言えます。
リズム感はトレーニングすれば克服できるので、良いグルーヴを作り出せるように、まずは、「ジャスト」を意識して、しっかりと練習を重ねるようにしましょう。