前回のコラムで触れた、ダブリやエフェクトを感じながら、あらためて自分の聞いている音楽を探ってみましょう。
どうですか?
最近の音は、ダブリや特殊効果が無いものを探すことの方が難しくないですか?
それらは大抵、ボーカルの歌唱力や主旋律の弱さ、楽曲のクオリティの低さからくるものです。
故 佐久間正英さんの言葉とも被るように、原音のクオリティが何より大切なんですが、残念ながらこれが今の音楽業界の現状。
もはや、過剰なお化粧と呼ぶべきサウンドメイクやポストプロダションは、今っぽい音の象徴になっていることも否めません。
考えてみましょう。
レイ・チャールズやアレサ・フランクリン。
ジャニス・ジョプリンやトム・ウェイツのダブリや、ケロり。
想像するだけで滑稽です。
良い素材を潰し、邪魔になるだけで、多くは必要ないものだと想像出来るでしょう。
本当に上手い人というのは、そういうものです。
下手な歌い手は、そういったお化粧は音源に限らず、ライヴでも使用されたりもします。
一般には、分からないように上手く調整されていますが、音源だけでなくライヴも、よく聞いてみて下さい。
もちろん、良い作品やエンタテインメントというものは、歌唱技術だけで評価できるものではないですが、本当に技術を持った歌手は、一般のみなさんの耳が向上する事で育っていくものです。
本物が評価され、陽の目を見る世界になるために、それらを聞き取る能力を、みなさんには養ってもらいたいと思います。