ボーカリストの上級テクニック「エッジ」。
ギターでいうところの、オーバードライヴやディストーションのように、声の表面をザラつかせたり、歪みを作ったりするテクニックです。
ロック、R&B、ポップスなど、ジャンルを問わずに使用されるものですが、とくにブルース系、ロック系のアーティストにとっては、エッジの有無、その良し悪しがボーカルや作品の評価を左右するので、必ず手に入れたい技術です。
ポップシンガーであっても、声の表情はもちろん、声の厚みにまで影響するので、使いどころでは表現できるように、できればモノにしたいスキルですね。
最近は、良いエッジを作れるアーティストが少なく、良く言えば素直な発声や歌唱を意識しすぎていているのか、声が十分に磨かれていない中高生や、小さな子供が歌っているような声のアーティストが増えました。
すぐに裏声に逃げるのも気になるポイントです。
しかし、ヒットし、ブレイクするアーティストというのは、たいてい良いエッジを持っています。
エッジが無ければ、たとえサウンドが激しく、激しい思いで歌唱に挑んでいても、今一つ迫力や箔がないアイドル風のボーカルや、幼いフィーリングになってしまいます。
結果、そういった線が細く貧弱な声や粘りの無い歌唱は、音源となれば、ダブリ(歌のトラックを2~3本と重ねること=ダブリング)と呼ばれる手法を用いたりしないと、格好がつかない事が多くなります。
昔から、ダブリ手法はありましたが、最近は常套手段といってもよい位に多いですよね。
グループで歌うのも、ある種のダブリと言い換えられます。
そもそもの声に魅力が無いと、一人の声では勝負できず、また、ポストプロダクション(後づけ処理)でエフェクト(特殊効果)などを多く施さねば、商品価値を高められないのです。
それらは、下手なボーカルをなんとか見栄えよくするために講じたエンジニアの苦肉の策や演出とも言えますが、本当に上手い人、そもそもの歌唱の質が良い人ほど、エフェクトは要らないことを覚えておきましょう。