前回のコラム「鼻腔共鳴の重要性」と少し関連しますが、鼻の共鳴が使えない人に割と多いのが「耳管開放症」。
「耳管開放症」とは、通常は閉鎖されている耳管が解放状態となり、新幹線でトンネルに入った時や、飛行機に乗った時の様な状態になり、自分の声が大きく聞こえたり、周りの音や声がこもって聞こえたり、酷いときには、ほとんど聞こえない状態になってしまいます。
歌唱時に起こると、音程が捕らえにくいなどの影響が出ます。
歌唱時に起こる原因の多くは、圧力の乗った息が耳(耳管)へ向かい、耳管が耐え切れずに解放されるからです。
とくに、頑張って高音を出すときや、大きな声を出すときなど、圧力が高まったときに、多くみられる傾向があります。
本来は、圧力や息は、口や鼻から解放されるべきなのですが、鼻が詰まっていたりすると、上手く調整できずに圧力が耳へ向かってしまうのです。
ですから、歌唱時には鼻が悪い人に多くみられる症状です。
小さい頃から、このような経験や症状を持つ人は、みんなも同じように声を出す時には周りの音が聞こえなくなるものだと思っていることもあるようで、治療をしないまま過ごしていることも多いようです。
また、「耳管狭窄症」は、鼻やのどの炎症により耳管開口部に炎症を起こすことが主な原因で、耳管が塞がれたり狭くなるもので、やはり周りの音が聞こえにくいなどの症状が出ます。
「耳管開放症」も「耳管狭窄症」も、多くの場合は治療法がありますから、なるべく早めにお医者さんに診てもらうようにしましょう。