今回は前回のヘッドホンのコラムに続き、ボーカリストの所持しておきたいアイテムのご紹介。
そのアイテムとは、マイマイク(自分専用のマイク)。
みなさんカラオケの経験はあれども、マイマイクを持ってる人は少ないようです。
ライブをやってる人でも、案外、持ってない人も多いですね。
確かにカラオケやスタジオでも備えられたマイクがあるので、一般的にはマイマイクの必要性を感じることは少ないでしょう。
しかし、歌う人の全てにおすすめしたいアイテム。ぜひ自分専用のマイクを使うようにしてください。
・マイマイクをすすめる理由
・おすすめのマイマイク
・おすすめ出来ないもの
マイマイクをすすめる理由
その1. 衛生的観点
マイクは多くの人が握ったり、飛沫がかかる機材です。
うちのスクールのように、毎レッスンの度に洗浄した清潔なマイクに交換することは、カラオケボックスやスタジオ・ライブハウスの場合、難しい作業といえます。
清潔でない部分を口に近づけたり触れるなどすれば、やはり様々な病気の感染リスクが伴います。
ボーカルは体調を崩してしまうとパフォーマンスが一気に下がり、練習の質も下がりますからスキルアップに大きな影響を及ぼしてしまいます。
マイマイクにすることで感染対策となり、体調を崩すリスクを減らすことができます。
その2. 自分の声に合うマイクや良い性能のマイクを使える
マイクも消耗品です。
マイクはダイアフラムなど繊細なパーツを持った精密機器。年季の入ったスタジオやライブハウスなどのマイクでは少しずつ経年劣化して音質性能も悪くなってますから、新しいマイマイクにすることで音質向上が見込まれます。
上手い人は道具を選ばないとも言えますが、自分の声質に合ったマイクを使用できることもマイマイクのメリットです。
おすすめのマイク
マイクには様々な種類のものがありますが、歌唱用のものだと主にコンデンサーマイクとダイナミックマイクの2種類が一般的です。
コンデンサーマイクはオーディオ周波数帯域が広くて感度は良いですが、そのぶん周りのノイズを拾いやすく、また湿気や振動・衝撃にも弱いため、マイクコンディションやパフォーマンスをキープするためには繊細な扱いやメンテナンス、取り回しが必要とされます。近年ではライブ用のコンデンサーマイクも出てきてますが、一般的にはレコーディングに使用されることが多いマイクです。
また、コンデンサーマイクを使用するにはファンタム電源を供給できる機材が必要となります。
ダイナミックマイクは湿気・振動・衝撃に強く、ライブなどのハードな使用にも気兼ねなく使用することが出来ます。コンデンサーマイクと比べると感度は少し劣りますが、一般的なデモ録音程度であれば十分な性能も持っています。
ファンタム電源の供給も必要ありません。
初めてマイクを買うという人は、気兼ねなく取り回せるダイナミックマイクを。
様々なメーカーのダイナミックマイクがありますが、まずは超有名なSHUREがおすすめ。
アメリカ製の通称ゴッパーとも呼ばれるライブハウスでは定番中の定番と言えるマイク。
ゴッパーで、そこそこ歌えたら問題無いとさえ言われるほどの機種です。
有名メーカーでありながら比較的安いこと、SM58に限って言えば、音質的にみれば決して易しいマイク(フラットな特性を持った音質)だとは言えないのですが、超有名なマイクだけに質感を知っておいて損は無いって感じです。
ゴッパーの上位クラスとも言うべきマイクで、ヘッドグリルに青いラインが入っているデザインも特徴。
ゴッパーに比べるとヌケがよく音質が良いので、余裕がある人には、こちらがおすすめ。
さらに、超個人的なおすすめとして、音響機器メーカーの多いヨーロッパ、ドイツの製品で、ダイナミックマイクでありながらコンデンサーマイクの様な高音質が特徴のテレフンケン。
ヌケの良さとともに低音のコシもある高音質に加え、ダイナミックマイクなので取り回しも良く、お洒落でかっこいいデザインやカラーも魅力です。
自分の実力がついたら、このマイクを持ってステージで歌うことを目標に頑張ってみてください!
尚、作曲が次々に進み、かなりの頻度で宅録する機会が増える人は、コンデンサーマイクも手に入れるといいでしょう。
しかし、あくまで個人的な感想ですが、ダイナミックマイクは過入力して声が歪んだとしてもエモーションに感じられプラスに働くことも多いですが、安物のアンプ同様、コンデンサーマイクの過入力の歪みは取り返しのつかないテイクとなることが多いです。
デモのような大雑把なプリプロダクションであれば、ダイナミックでも十分だといえます。
おすすめ出来ないもの
マイクにON/OFFのスイッチが付いているものがありますが、スイッチの機能が別途に組み込まれているため接触不良が起きやすく、スイッチのオンオフ時にもノイズが発生しやすいです。
また、歌っている最中に触れてしまいオフされてしまうようなトラブルが起きる場合がありますから、スイッチ付きはおすすめしません。
いくら安くても実績が確認出来ないメーカーは注意しましょう。
マイクや音響機器メーカーとして長く存続し実績があるメーカーというのは、長く愛されている理由があり、トラブルも少ないです。
また、マイクは消耗品です。一見、綺麗に見えても、中のダイアフラムなどの劣化状態はわかりませんから、よほどのビンテージの名機であったり、過去の使用履歴が分かるなど、覚悟がある人でない限り、中古はおすすめしません。
有名メーカーの人気製品は類似品が流通しているため、注意が必要です。
信頼出来るお店から購入するようにしましょう。
まとめ
マイマイクにすることで感染症対策にもなり、自分に合うマイクにすることで音質を向上させることも可能です。
ボーカル以外の楽器パートは、楽器の購入、弦やスティックなどのコンスタントな消耗品なども含めると、なかなかの額を投資して日々切磋琢磨しているわけですから、ボーカリストもマイクの1・2本くらいは、自分の為、バンドの為に投資してあげてもいいと思います。
ただし、いくら良いマイクを買って音質は向上しても、自分のボーカルスキル自体が上がるわけではありませんので、自分の実力もしっかり上げていくようにしましょうね。
最後にもうひとつ。
マイマイクを手に入れたら、自分のマイクだとわかるようなシールなどを付けておく方がいいです。
とくにライヴハウスなどでは定番のマイクではマイマイクの違いが分からなくなります。案外、リハや入れ替えなどバタバタしてライブでテンションがあがっていると、ついマイマイクを忘れて帰ってしまうなんてこともありますからね。