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【ボーカル】【スキルアップ】【トレーニング】【アイテム】【音響機材】

2019.4.5

発声・ピッチトレーニングは鍵盤楽器を使って

いつの間にか街に春が色づき始め、人々が春を呟き、桜が歌う季節となりました。
過ごしやすい日も増えて、ジョギングもようやく心地よくなり始めましたが、
ボーカリストにとっては花粉や黄砂に苦しめられる、まだまだ厳しい季節ですね。

さて、こんな時節のみならず、ボーカリストの中にはピッチでお困りの人も多いはず。
プロアーティストのピッチでさえ甘いことも多く、海外アーティストとのレベルの違いを感じるポイントの1つです。
細かな原因は種々ありますが、主に身体が楽器として上手く機能・精錬されてないことに加え、正確なピッチ感が養われずにいることです。
それらはやはり、きちんとしたトレーニングの積み重ねを行ってないことが1つの要因なわけですから、それを放置している本人や周りの意識の低さが根本の原因であると言えます。


地道なトレーニングをしっかり継続するということは大前提ですが、
ピッチで悩む皆さんに、まず心がけてみてほしいこと。
それは、なるべく鍵盤楽器を使って、丁寧にトレーニングをすることです。



それぞれの症状や特性に対する処方は1つではないので今回のコラムでは省きますが、
鍵盤楽器を使うということは全員におすすめ出来ることで、
とくに初心者においては、ピッチ感を養う為の重要なポイントです。
主に現代音楽で使用される12平均律というものは、人間が近代までに定めた音程の規格の様なもので、持って生まれてくるような感覚ではありません。それぞれが養い磨いて身体に植え付けていく感覚なのです。
そして、現代音楽で言うところのピッチを定める力というのは、そんな12平均律を基にした楽器から生み出されるコードに対して自分が出すべき音を導き、コードに協和させる能力のこと。
ですから、完璧な音程やコードが出る楽器を用いてトレーニングするということが大切です。
アマチュアの場合、ギターで練習する人も多いようですが、アマチュアのギターはメンテナンスやチューニングも雑で狂っている事も多く、また、フレットを押さえる演奏の具合や技量によってもピッチが若干でも変わりますから、正確なピッチ感をつくるための伴奏楽器・補助楽器としてはおすすめしません。
作曲においては、リズム楽器としての一面を持ったギターからの発想や、ギターリフも引き出せたりと利点はあるのですが、ボイストレーニングでギターを使うというのは、僕はあまり聞いた事がありません。
ボイストレーニングでは完璧に調律された鍵盤楽器を用いる事が一般的。ピッチの甘い楽器では、精度の良い音感が育ちません。
細かなピッチの狂いを認識できるようになれば、あえてアカペラの練習などでも磨かれる部分もありますが、音感が未熟な初心者においては、正確なピッチが出る楽器の併用が音感形成の面において重要となります。
また、鍵盤は正確なピッチ感の養成に役立つだけでなく、コードもギターの指板ポジションに比べて視認しやすく、和声的な理解も優しく深まるはずですから、音楽理論や作曲・アレンジにも便利な、おすすめの楽器です。

ただし、安物の鍵盤はピッチが甘く、ズレていたりするので、注意が必要。
比較的メンテナンスを必要としない有名メーカーの電子ピアノやキーボードがおすすめです。
ぜひ、鍵盤を使用して、ピッチの精度を上げられるようにしていきましょう。



[補足]
プロアーティストを見ても分かるように、若い人などはまだまだ経験・練習不足から来る精度の甘さ、歌唱の未熟さを感じることが多いです。また、歳をとった人ではブランクを作ったことによる肉体の衰えやトレーニング不足からくる精度の甘さや歌唱力不足を感じられることが多いものです。
皆さんに披露できるような一流の芸や技というものは、「水面に指で文字を書くようなもの」とは藤山寛美さんのお言葉ですが、それほど容易く作られるものではなく、前述したように、良いパフォーマンスというものは、絶えまない稽古と影なる鍛錬の賜物なのです。
声やピッチ、表現力、歌唱を安定させ維持し続けるということも同じく、そう簡単なことではありません。 トップアスリートとも同じです。
レベルの高い歌唱に必要となるフィジカルやピッチなどの感覚、それらを養いながら、
刻々と変化する肉体と感覚を常に一致させる為には、日々の練習を怠らずに重ね合わせるしかありません。
鍵盤の使用で練習の質を高めるとともに、日々の鍛錬の継続を心がけましょう。