COLUMN

【ボーカル】

2016.3.1

最新は最古になる!? ~トレンドだけを追うな、トレンドを作れ

昔、小学校の担任の先生に「みなさんは将来、新聞のようになってください」と言われた記憶があります。
新聞というのは、その日の旬な話題やニュースがいち早く掲載されています。
だからこそニーズや価値があるもの。
そうか、それじゃ最先端の記事がいいのかと、もっともっと先の未来は多分こうだということばかりを記事にしたとします。
でも、それでは嘘の記事だらけになってしまい、多くの読者は求めなくなるでしょう。
では過去、二日も前の新聞はどうでしょうか?
これもまた多くの人にとっては、既に需要は無いものでしょう。
新聞は、その日にニーズがあるもの。
まさに旬のホットな話題やニュースで埋め尽くされているのです。



「みなさんは将来、新聞のようになってください」とは、
時代が流れようとも、その時々において常に周りから求められる、そんな人物になれということだったんですね。
なかなか、小学生に深い言葉をくれたものです。


音楽のシーンは4~5年で移り変わると、昔から言われています。


その周期で今のアーティストが消えるという事ではなくとも、
時代のトップランナーと例えられるアーティストや話題となる音、
旬なアーティストの顔ぶれが、それくらいのサイクルで変わっていくという事です。
ですから、今の流行を追うという事は、実は流行に乗り遅れてしまう可能性もある。
パンケーキが流行ったからとパンケーキを作る勉強をして、人と同じように、より上手に出来るようになった頃には店は多くあって、ブームも過ぎていて需要が無い。


この感覚は音楽だけに当てはまるものではないでしょう。
ファッションやヘアスタイル、スイーツや言葉づかい、SNSに至るまで、
流行という言葉に表せるものは必ず存在します。



タレントや俳優、CMにも、その時に旬な顔ぶれがあることは、素人にもわかることでしょう。
アーティストやタレントなど、とくにしっかりとした事務所やメーカーでは、
デビューまでに少なくとも教育期間や戦略期間というものもあります。
前のコラムにも書きましたが、「君いいねぇ。明日はTVで歌ってね、来月CDリリース」なんていうことは、ほとんど無いわけです。
今が旬というものだけを追いかけていたり、今の旬や話題にハマっているとすれば、
数年後にはそのトレンドや感覚は、旬を過ぎている可能性も否めません。
ですから、多くの関係者は、それも含めて観察、考慮し、みなさんをスカウティングしているはずです。
もちろん、今はネットというものがたいへん強大な力を持つようになりましたから、
どんなに年齢を重ねようと、どんな辺鄙な所に住んでいようとも、
自らネット発信し事務所に売り込んだり。
それすら飛び越えて世間に評価を受ける事や、自分を世のムーヴメントにすることは可能になりました。
非常にチャンスが広がった時代だと言えるでしょう。

しかし、今流行っている音やアーティストに影響を受け、あなたがそのアーティストの様になりたいと、トレンドなアーティストに固執したとしましょう。
しかし、あなたがスキルを上げて同じ事をできるようにし、同じ路線を狙った頃には、肝心のシーンは全く別のものに変わってしまっていて、自分のスタイルや音楽性は需要が無く取り残されてしまう。



しかも、あなたの音は、ついこの前まで流行していたものとして、何よりも一番の古さやダサさを感じさせるものにもなり兼ねないのです。

では、どうすればいいのか・・・。
パーフェクトな答えは無いですが、どの業種においても本当のスキルを持つ努力をすることでしょう。
本物のスキルは流行に左右される事が少なく、トレンドに乗っかるという感覚とは無縁で、自らトレンドを作り出す力があるからです。
そういったアーティストは、いくら時代が流れようとも、長く第一線でご活躍されていますよね。
影響を受けるなとは言いません。
それも当たり前の事ですし、流行を感じる力、それも必要だと思うからです。
しかし、トレンドだけを追うということは、ある大きな力の影響を受けるだけの一般の感覚と全く同じです。
最先端のシーンを作る者、切れ者というのは、きっとそうではないはずです。
まわりに影響を与える側、台風の目となるはずなのですから。

そして、本当の実力者から影響を受けることが、自らを本物へと変えていくことに繋がるでしょう。
大きなスキルがあるわけではくトレンドに乗っただけのアーティストから、何をあなたは吸収できるのでしょうか?
ですから流行の歌だけに留まらず、実力者として長く第一線でご活躍されているアーティスト、また洋邦問わず様々な年代の、様々なジャンルやアーティストから広く吸収し、さらには、昔の良いものをリバイバルさせるだけの実力や、本当の意味でかっこいいと聴衆から求められる新しいスタイルを独創、創造する事が大事です。
面白いもので、例えば古いものでも、アンティークやクラシックカー、オールディーズ、トラディショナルというように、けっこう昔の良いものというのは、かえって今では無いスタイルや技術があり、新鮮さを感じたり、今のものよりも価値が出たりするわけです。
ちなみに、流行歌手はポップシンガー、流行曲はポピュラーソングやポップソングと呼ばれます。

  

アーティストにとって本当に新しいものは、今の旬ではなく、まだはっきりとは見えぬもの。
あなたが台風の目になるというのなら、流行だけを追うことなく、ムーヴメントを作る力や、時代を見る高い意識や本物のスキルを養わねばなりません。