COLUMN

【テクニック】【スキルアップ】
2015.2.1

エッジをつける(1) ~ボーカルの上級テクニック

ボーカリストの上級テクニック「エッジ」。

声の表面をザラつかせたり、澱みを作ったりと、フィールをうねらせるテクニックだ。
ギターでいうところの、オーバードライヴやディストーションといった感じだろうか。
上級者の中でも、さらに技術のあるボーカルが扱う内部エフェクトといえるだろう。
声の表情はもちろん、声の厚みにまで影響するから、ボーカリストにとっては絶対にモノにしたい高難度のスキルだ。
ロック系はもちろんだが、R&Bやポップスなどジャンルを問わず、上級者には質の高いエッジが存在する。



しかし、最近のアーティストや生徒の傾向は、良く言えば素直に発声や歌唱をしすぎていて、まだ声が十分に磨かれていない中高生や、まるで小さな子供が歌っているお遊戯のよう。
すぐに裏声に逃げるのも気になる。
エッジがないと、たとえサウンドが激しくともボーカルはお子ちゃまだから、典型的なアイドルボーカルや幼いフィーリングになってしまう。
結果、そういった線が細く貧弱な声や粘りの無い歌唱は、音源ともなれば、ダブリ(ダブリング=歌のトラックを2~3本と重ねること)と呼ばれる手法を用いたりしないと芯や表現が保てない事が多い。
グループで歌うのも、ある種のダブリと言い換えられるだろう。

そもそもの声に魅力が無いと、ポストプロダクション(後づけ処理)でエフェクト(特殊効果)などを施さねば、商品価値を高められないものとなるのだ。
それらは、下手なボーカルをなんとか見栄えよくするために講じたエンジニアの苦肉の策とも言えるが、最近の効果が付き過ぎているボーカルは正直なところ心地よくない。
昔からダブリ手法はあったが、これらの手法を多用することは下手なボーカリストがやる事と学び、出来る限りそうならぬようにと歌唱を磨かれたものだ。

昨今は、DTMが安価となり音楽制作が一般化した一方で、下手でもテクノロジーと手法でごまかすことが出来るようになった。



しかし、本当に上手い人、原音・根本の歌唱の質が良い人ほどエフェクトは要らないことを覚えておこう。
それらを気にかけて、今一度、自分の聞いているアーティストの音源を聞き直してみるとよいだろう。
一般の聴く耳や知識が向上する事が、アーティストへのプレッシャーや本気を作り、さらには、より良いアーティストを作り出したり発掘する原点になるはずだ。