COLUMN

【身体】【トレーニング】
2014.10.21

「喉疲労も悪くない」 〜ボーカルの努力の証

そろそろ肌寒い季節で乾燥する季節となり、ボーカリストの喉としてはメンテナンスの難しい季節がやってきました。
そんな今回は、ボーカルとは切っても切れない悩み、「喉疲労」について。



生徒さんから、「疲労しない方法」とか、「喉に息や声が当たってムズムズするけど大丈夫?」 なんていう質問もたまにありますが。
決して、疲労しなさいという事ではないのですが、アスリートが筋肉疲労するのと同じ、歌っている以上は、大なり小なりの疲労は付き物だとも言えるのです。
疲労したくないなら歌わない事です。
しかし、上達を望み練習したり、ライヴツアーをこなす中では、それは現実的ではないですよね。
10~20分で歌えなくなるボーカリストでは困りますから、日頃からトレーニングで喉を鍛えて強くしていき、こまめに水分を摂ったり、塩分の強いもの辛いものや脂っこいものを控えるなど、喉のメンテナンスやケアにも気を配り、自分は何で調子が崩れるのかなど、自分の喉や身体を知ることが大切です。

例えば、セリーヌディオンは日頃も大笑いをしないように気をつけるといいます。



一流と言われる人ほど、そのメンテナンスやケアの意識は、ストイックでセンシティヴなものです。
そんなふうに気をつけていても、やはり本番の歌唱エモーションやショウビズの過酷な世界ではオーバーワークとなり、声帯炎などになったりもするんですよ。

普段の練習量は少ないのに、オーディション前には、にわかに歌い込んでみたり。
それはアスリートが本番前に急に猛練習するのと同じで、故障してしまいます。
また、良い感じで声が出たと思うときほど、翌日は調子が崩れやすいものです。
本当に調子が良い時は、「無」というべき感覚で歌えます。
音域も歌声もスルスルと心地よく出ますし、ピッチコントロールも難なくこなせます。
そのぶんエモーションも自然に強くなっていることが多いものです。
そういう気持ちのよい時、調子の良い時は、たくさん歌いたくもなります。
で、翌日には、見事にしわ寄せが来る。(笑)
良い時は持続させるのが難しいのです。

ボイトレを始めたり、毎日歌い込み、喉に気を配れるレベルになったりすると、日々の喉の状態、発声の感じが毎日違うことに気がつきますよね。
調子を持続させるには、多くの経験や失敗から自分を知ることが必要です。
また、ミックスボイスを使うほど、喉疲労も強くなりやすいです。
その理由は、長くなるので各自ボイトレ講師に聞いて下さい。

とにかく、例えるなら、歌唱というのは芸術性を多く含む競技とも言えますから、
単に疲労しない声が聞き手を魅了させるとも言い切れません。



結果や実績のあるプロならともかく、アマチュアがそれだけを目指して声をつくるというのは、歌という性質や本質から見てナンセンスに思えます。
僕自身は、適度な疲労は良い意味で、声や歌唱のエイジングや強化を作りますし、疲労がダメだとは思っていません。
プロになれば、歌う事の頻度は嫌でも多くなってきますから、喉を鍛えながら知り、疲労とはうまく付き合えるようにと、生徒さんには伝えますよね。
各生徒の近々のスケジュールを把握してレッスンするのも、その為です。